2009年3月6日金曜日

There is always hope

There is always hope

March 6, 2009 7:00 PM
 
Los Angelesにいます。
カルフォルニアの光と風は、いつもと同じように心地良いけれども、
不景気の風は、はっきりと以前とは全く違うムードをもたらしている。 


自分の仕事ベース&物欲で言うと、
どこの洋服屋を見に行っても、
気持ちがそそられる物が見つからない。
冒険や挑戦を感じる物がない。
ベーシック、トラディショナル、アースカラー、シンプル、カジュアル・・・。
その中でももちろん、目を引くチャレンジングなデザインもあるが、
では、それを纏ったらいったいどこへ行き、誰と何をするの?
と躊躇をしてしまう。
冒険をためらっているのは、自分たちなのか? 

ちょうど入れ違いで日本に帰国したあゆから電話が来た。
ひと通り近況を報告し合った後、こんな話をした。
「どうロスは?なんか買い物した?なんにもないでしょ」
「欲しくなる物ないねぇ、地味〜。黒、茶色、ベージュばっか」
「そうなんだよね〜、綺麗な花柄とか着たいよねぇ」
いいことを言うね、あゆ。
女の子はそうでなくっちゃ。
 
艶やかなファッションを、
はたまた人出自体を、
街が拒否しているような気さえする閑散さは何だろう。
昼のロデオドライブやサンタモニカ、そして夜のビバリーヒルズ。 

あゆの一言に勇気づけられ、
ディナーには臆せずドレスアップをして出かけた。
レストランのマネージャーもウエイターも、
他のテーブルの客も、眩しそうな眼差しでわたしを見る。 
流行っているレストランには、食事をするためにだけではなく、
集中する人々のパワーも食べに行く。
見知らぬ者同士が、お互い「アゲ」合って明日の糧にするのだ。 
ひとめで他人を「アゲ」ることができるファッションはやっぱり偉大だ。
どんなときも女は元気でセクシーでいなくちゃ。
 
ビジネスマンたちとの話題は、
もちろん、経済の現状とオバマ大統領について。
では、日本の首相には誰がいいのか、というテーマにもなる。
いまでは小沢さんの線も薄まってしまったから。 
誰がいい?  
一同、誰の名前もでてこない。
飲みの席ながら、それぞれ真剣に考えてみる。
 
政策というより、マスコミの嫌味にめげない強靭な精神力が必要だよね〜、
そういう意味では、麻生さんはよく持ってるよね〜、
それぐらい図太くないと持たないのかもね〜、
でも、さすがに最近疲れてきてるよね〜〜、


田中眞紀子さんしかいない!と東京の男友達がいつも熱く語っているのを思い出す。
 
わたしは、高城剛さんがいいと思う、と提案する。
世界中をくまなく知り、日本のクリエイティビティを最も信じてる男だよ、
それに、そうなったらファーストレディはエリカ様だよ〜〜、
世の中が盛り上がるよ〜〜!!

これには結構、賛成票が集まった。
ひとめで他人を「アゲ」ることができるエリカ様はやっぱり偉大だ。
 
以下、リサーチメモ。

音楽はロック。
叫びと反発、あらわな感情表現、
きっちりと鳴らす職人技のギターテクニック、
心臓の鼓動を追い立てる力強いドラム、
美しい指使いがさばくピアノメロディ、 
誰もが魂の揺さぶりを求めてる。 
軽く聞き流せるものは今いらない。
ラウンジミュージックでもAORでもなくトランスでもなく、
ロックが欲しい。

洗いざらした白いシャツ、下げすぎないジーンズ、
合わせるのはグレーのニューバランス。
クロムハーツのピンキーリング。
もちろん鍛えた身体でなければならない。
最もかっこ良かった男の人のスタイル。
けれど、とても保守的なその姿。

魂を鍛えるためには、まず身体から強くする。
人々の興味はフィットネスへ。
スポーツアイテムは好調ではないだろうか。
トレーニングウエア、サプリメント、スニーカー、
ジムに行けば必ず人がいる。
滞在時間も長くなったように思う。
スポーツ選手はさらにスター性が高まっていくだろう。

プラットフォームのハイヒール。
たぶん、どこのバイヤーも確実に売れる物を厳命されているのだろう、
つまり店頭に並ぶ洋服がどれもこれもパッとしない印象なのに対し、
シューズのセレクトは実にパワフル。
サディスティックな12センチ以上のヒールがメイン。
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不景気になると、決して距離を歩けないインドアユーズのセクシーフォルムが流行る。
なんでやねん。
わたしも数足買っちゃった。
 

シャネルのバッグ。
こうなると、強いのはシャネルだと思う。
女の基本ですもの。
どんなコーディネイトにも合う不変。
男が懐古に向かう今、隣に並ぶ女にはキルティングのチェーンバッグがあればいい。

定着したもの。シャンパンとフレグランスキャンドル。
両者とも、少なくとも5年前には、一部の人々の愉しみであった。
ビールのように愛飲したり、香りただようほのかな炎を、
いま、多くの人が自宅で楽しんでいる。
50ドル以上もするシャンパンやキャンドルが、
これだけ店頭に並ぶようになった勝因は何だろう。
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共通点は、香りと刹那性。
たとえ廉価版であっても、なんだかもったいない物であるところも一致している。
倹約が人生のテーマである人にとっては、全く理解不能の嗜好品であろう。
 
 

 
さて、時差ボケで眠れないから、
夜中のホテルルームでひとり、くどくどキーボードを叩くわたし。

 

こちらに来る前夜に、
刷り上がったばかりのホリエモンの新刊を届けてもらった。
駆けつけ一気のごとく、せわしく読み上げた。

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ホリエモンについて語るのは、
ずっとやめていたこと。
わたしは彼を好きだけど、うちの会社のイメージのために、
わたしの周りの人たちのために、やめていたこと。
イメージは連動することを、身を持って体験させられた貴重な出来事。
 
彼のブログもおもしろいけれど、
本は、まさに入魂の一冊だった。
彼の丁寧な文章作りとクレバーな構成力にいつも感心してしまう。
実物はどうか。
わたしが彼と親しくなったのは、逮捕された数ヶ月前のことで、
まさに注目度がピークの頃だった。
ちょっと太めな体格と、言うこと言うことがストレートなので、
ふてぶてしい印象があることは否めない人だけれど、
世の中に蔓延るしがらみに対した配慮や遠慮といった、
場合によっては悪習ともなり得る行動を、ぽーんと飛び越えた人だと思った。
話の内容、その態度には繕いが一切なく、見ていて気持ちよかった。
いや、あの人は繕えない人なんだと思う。
心底正直なんだろう。
彼がお世辞を言ってるのを聞いたことがない。
彼が褒め言葉を言ったとしたら、
それは本当にそう思っているのだと、わたしは信用する。

わたしの元ダンナが、まるで同じような思考回路の男だったので、
こんな人、他にもいるんだ? と感じて驚いたことが、
彼に対する興味の発端だった。
たとえば、彼らは『無駄』に対する独特の概念が似ていた。
説明するにはちょっと難しいのだけれど、わたしが感じたことはそれだ。
美よりも合理性を重んじ、
徹底的に無駄を嫌った。
それによって、ときには人の行動や表現を肯定しない厳しさもあった。
包み隠さない率直さが、人の機嫌を損ねたこともあっただろう。
わたしのように、ムード作りや装飾作りに精を出している人間にとっては、
真逆の意見者であった。
彼らの話を聞いていると、心を飾り立てて生きることがばかばかしく思えてくる。

そんなに言いたい事言って、
ほんとにうらやましいよ、
と、ふたりを比べ、
わたしの中では、おもしろがっていた矢先だった。
ホリエモンは逮捕された。
 
あの劇的な強制捜査が入った、1月16日の月曜日のことは、
わたしも一生忘れない。
その三日前の週末の金曜日は、わたしのバースデーパーティをやっていた。
気軽に参加してくれて、先頭切って飲んで踊ってくれたホリエモンの姿を見て、
招かれた男の子たちはみんな感激していた。
時代のスーパースターだったからだ。
 
そのパーティの始まる直前に、
ホリエモンは宮内さんを連れてきて、
わたしに紹介してくれたことを思い出した。
10分ぐらいのことだったけれど、とにかく嫌な感じの人だった。
わたしは、たちまち気分が悪くなった。
もう少し一緒にいたら言い合いになっただろう。
というか、なりかけてしまったところで、
ホリエモンが察して彼を帰した。わたしの誕生日だったからだ。
わたしにも彼にも、そうとう気を使っていた様子を覚えている。
その店は、当時ダイナシティが買収したばかりのビルの中。
店の社長が、宮内さんに挨拶に行くと、
あー、もうすぐ家賃上げるからな覚悟しとけ、
と言われたそうで、すっかり不機嫌になっていた。

わたしはホリエモンに対して、悪人という印象を感じたことがない。
自分の直感を最も大事にしているわたしにとって、
ホリエモンが悪人であるということは、
耐えられない仕打ちである。
  

ライブドア事件の関連書籍をくまなく読み、
論点を知ろうと努力した。
読んでも読んでも、何が、誰が、正しいのかよくわからない。


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うちの本棚に、一冊だけ返し忘れた三国志13巻があったよ。
ごめんね、ホリエモン、今度返しますね。

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裏表紙には、拘置所の検閲札が。
(@_@;)
 



わたしなりの結論を申し上げる。
ホリエモンのことを好きか嫌いか、
それだけなんじゃないの?
ってことだ。
 



世の中の多くの人が、
何を信用していいかわからなくなってるようだ。


わたしは自分を信じる。
自分の直感を信じている。

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